麦酒 14

  • 2018.03.27 Tuesday
  • 22:05

 土曜日は高崎にてO君と飲酒。バンドの練習はなし、飲酒だけ。脱力感でギターが重たくて持てないからです。夜9時に彼と合流して実家近くのバーへ入ります。昔は月に3回は来ていたバーだけどホント久しぶりです。「マスターも店の感じも変わらず」な安心感で麦酒を呑みます。瓶麦酒を2本ちょい呑んだところでO君が言います、「なんか変なんだよなぁ、変な酔い方してるなぁ。体のどこかが変なんですよ」。それが「悲しい」って事だろ。

 そこからもう少し呑んでBeeへと歩きます。体が重くて嫌になります。それでもO君とクダラナイ事を色々話しながら、ふらつきながら歩いて行きます。O君は私と会う前にすでに麦酒を数本呑んでいたようです。酒が強くなったなぁ、O君。25年前には考えられなかったくらいに。

 

 当時の彼は、ホントに酒が弱かった。大体麦酒を一缶呑むと真っ赤になり、二缶呑むと青くなり、そこに日本酒とウイスキーを混ぜると黄色くなるのが常でした。信号機。当時はどいつもこいつも金が無いために町はずれの広場で持参した酒を呑むことが多かったのですが、宴が始まってまだ間もないのに、「頭が痛い、頭が痛い、誰かが話しかけてくるんだ、頭が痛い」と超能力少年みたいな戯言を言ってO君は地面にぶっ倒れるのです。そしてそのころ付き合いのあったモノホンのアルカホリック「粕漬Y君」が飽きもせずにO君をいじくりまわすのです。「オラッ、オラッ、Oよぉ、もっと呑めよ。なにが『気持ちワルイ』だよっ。呑まねぇから『気持ちワルく』なるんだよっ。もっと呑め」とか言いながらO君の紙コップにコーンウイスキーを注ぎます。それを一口呑んだO君は、当然のことながら、「もっと気持ち悪くなった、もうダメだ、ダメになった」と言ってさらに地面に這いつくばります。それを見下ろしながらY君は言います、「オメェーバカだな、呑み過ぎなんだよ、ちゃんとしろよ」。

 O君のすごいところ、または懲りないところは、「どうせOはつまみを喰ったところで吐いてしまうのだから喰わない方が節約になる」と誰もが感じているのに、屋外でも居酒屋でもたらふく食べるところでした。大体2000円くらい食べても1800円くらい吐いてしまうのです。勿体ないものです。

 

 そんなO君は20数年の時を超えて立派な「酒呑みぶっこわれ人間」になりました。「ちゃんと酒が飲めるようになりてぇなぁ」って愚痴っていたけど、良かったじゃないか、子供の頃の夢が叶ったのですね。今じゃ週末に一人でBeeに出向き、常連さんや2代目マスター(3代目かなぁ)N君と日付変更線をまたいでも楽しく酔っているのですから。スゲーよ。タイムマシンに乗って昔の自分に会いに行き、「大丈夫だ、気にするな。時間と嫌な思いと自暴自棄がすべて解決してくれる」と言ってやりなさい。それはともかく、O君が「立派な」酒呑みになれたのは、これはもうBeeのおかげでしょう。前マスターSさんが「バカだなぁ、ホントOはバカでハナシになんねぇよ」、「下らねぇ愚痴こぼすんなら麦酒を呑めっ」、「バカ言ってんじゃないよ、まったくもう、バカ言ってんなよ」、「オメ―達がバカすぎて嬉しくなってくるよ」とか何とか言いながら朝4時とか5時まで私のクダラナイ話にもO君のクダラナイ話にも根気よく付き合ってくれたのですから。そりゃ私もO君も、「酒がすすむ」ってなもんだ、ですよねぇ。そう言えば私の親が死んだ時も、仕事が上手くいかなくて悩んでいる時も、他に誰もいない店内で「じゃぁ酒呑んでこれ聴きな」と言って訳の判らんイイ音楽をかけてくれたことがありましたね。酒がすすんでしまいました。「酒に逃げる」んじゃなくて「酒で逃げきれました」ですよ。

 

 高崎駅前に通ずる交差点のところでO君が言いました、「まったくよぉ、Sさんはオレにひどいことばかり言いやがってよぉ。腹が立つんですよ。結局オレに『ゴメンナサイ』も言わねぇままじゃねーですか。悔しいですよ、この気分は何ですかねぇ」。それが「悲しい」って事だろ。

 

 Beeの前まで来てみれば、店内はかなり混雑しています。踵をかえそうとしたら中から常連さんの一人が出てきて「まだ席が空いてるよ」と教えてくれました。隅っこに席を確保してN君に麦酒をお願いしました。「SさんのBee」と「N君のBee」は同じ「Bee」で良かった。そりゃ違う事もあるけど、麦酒が美味な、同じ「Bee」だ。私の年齢で変化はキツイ。変化にはついていけないから「同じ」じゃないとキツイ。

 

 混雑していた店内も12時を過ぎたあたりから落ち着いてきて、午前2時をまわれば数人だけの客になりました。常連客のパンクスJ君やその彼女と席を並べ麦酒を呑みました。とても面白い話をしました。内容はここには書けませんが、とても愉快な時間を過ごしました。Sさんの話は出てきません。出しません。ここは「Bee」ですから。J君は楽しくて元気な青年です。麦酒が美味しく感じます。楽しい。J君ありがとう。O君もすっかり元気です。J君のハッカタバコを1本もらって吸いました。頭がクラクラ。美味しい。O君はハイネケンをラッパ呑みしながらN君に月曜日の事を訊いています。「まったくよぉ、なんだよ。最後まで人に迷惑かけやがってよぉ。こんな気分にさせやがって。なんだよぉ」。それが「悲しい」って事だろ。

 

               

 

 もう朝になるから私は帰るよ、とO君に言いました。O君は「ここでタクシーを待ちます」。サイナラ。今度はバンドの練習で逢いましょう。久しぶりに新聞配達のバイクとすれ違いました。昔は当たり前だったのに。酔っているに違いないけど酔っていないような気分です。これが「悲しい」って事でしょうか。判らない。

               

 

 

               

 

 

 

 翌朝はかなりの二日酔い。こんなん久しぶり。

 

 前にも書いた通りでしょう。ほら、また失くなった。また失った。

 

 

 

 

 

 

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>

selected entries

categories

archives

recommend

recommend

dancing in the street
dancing in the street (JUGEMレビュー »)
Martha Reeves & The Vandellas

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

仁輪加
仁輪加 (JUGEMレビュー »)
サンハウス,柴山俊之,鮎川誠

recommend

recommend

recommend

recommend

第3回全日本フォークジャンボリー’71
第3回全日本フォークジャンボリー’71 (JUGEMレビュー »)
オムニバス,岩井宏,なぎら健壱,加川良,吉田拓郎,六文銭,あがた森魚,野沢享司,高田渡,岡林信康,遠藤賢司

recommend

recommend

伝説のデルタ・ブルース・セッション1930
伝説のデルタ・ブルース・セッション1930 (JUGEMレビュー »)
サン・ハウス&チャーリー・パットン

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

川本真琴
川本真琴 (JUGEMレビュー »)
川本真琴,石川鉄男,岡村靖幸

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM