遺言

  • 2019.06.16 Sunday
  • 18:18

 私の死んだ母は、少々正気の沙汰ではない事が多い方でした。幼少時から「この人は少しおかしいんだな」と思う事が多々ありました。「狂ってんだな」とも思いました。このような事を記すと「親不孝モノ」とか「親の感情を何も理解していない不届きモノ」などといわれるでしょうが、その通りですし、私の母が「おかしい」のも事実です。そのように思う事のひとつに母親が「私の服装」について小言を述べた際のエピソードがあります。母親はいつも私が薄汚い格好で居る事が我慢できなかったようです。私にしてみれば自分が「薄汚い格好をしている」とは思っていませんでした。当然です。むしろ、酔っ払って眠くなったらベンチでも道でも草むらでも屋根でも地下でも好きなところで横になった時に汚れを気にしないで済む「機能的様式美」を備えた、ほぼ「完璧な服装」と考えていたのですから批判されるいわれはありません。当時の写真を見ると今と同じ格好をしています。これも当然です。「機能的様式美」を備えた、ほぼ「完璧な服装」なのですから変化の仕様がありません。変化したら、それは進化や改善ではなく、「退化」の可能性が大です。そんな私の服装に、母親はいつも文句を言っていました。私は「くだらない意見に耳を貸すのは時間の損失」と考えていたのでいつも露骨かつ完全に無視していました。しかし、ある日のこと、あの出来事が起こりました。私が母親を「完全に常軌を逸している」と思う出来事です。

 夏休みに長野から帰省していた当時大学生の私は、ある日の黄昏時に、いつものように台所で缶麦酒を呑んで新聞をめくっておりました。対面に座っていた母親が突然、本当に突然、こんな事を言いました(親の文句って何故かTPOに合わさず突然始まりますよね)。「アンタはホントに薄汚い格好ばかりして。あたしやお父さんが服を買うお金をあげていないみたいで恥ずかしいじゃないの。あぁ恥ずかしい、あたしの息子が薄汚くて恥ずかしい」。勿論私は完全無視です。さらに母親の文句小言が続きます。「昨日だってだらしなく朝まで呑んでから帰ってきて、シャツやズボンに芝生がついているし、メガネが割れているし、自分が何をしているのか考えなさい」。まだ無視です。何をしていたのか考えられません。だってどこで芝生がついたのか、なんでメガネが割れたのか、大酒呑んでいて何も覚えていないのですから。さらにさらに小言が続き、そうこうしているうちに、あの衝撃的狂気発言が飛び出しました。「とにかくちゃんとした服装をしなさい。まずは服装から整えて、それから生活態度を改めなさい。アンタの友達のO君を見てみなさい、あんなにいつもちゃんとした服装で礼儀正しくしていて。O君を見習いなさい」。こりゃダメだ、私の母親はもう無理だ。だって私たち友人内では、O君の「歌舞伎者(傾奇者)」的服装は酒の肴になる事が多々あったのです。「O君よぉ、君のその服装は誰かのマネなのか、それとも君のオリジナルなのか。どっちにしろ誰かのマネならばそいつのマネはやめなさい。誰のマネでもないのならば誰かのマネをしなさい」なんて言われていたほどのグレートな服装だったのです(ちなみに彼も、かなりの頑固者なので、今現在も服装に大きな変化はありません)。それを「見習いなさい」とは、もうね、「奥さん、無理言わんでくださいよ」状態です。それをO君に伝えると、「やはりね、判っている人は判っているんですよ、見習ってください、このオレを」とかカブイて居ります。無理です。ニワトリは飛べませんし泳げません。母親の「遺言」は受け付けられませんでした。

   

             

 

             

 

           

 

           

 

           

 

           

            一体どのように見習えば良いのか判らない

     

 

 何故にこんな事を記したかと言いますと、つい先日の事柄があったからです。

 前回のブログでカクテルの「モヒート」が「美味しい」という事を述べました。そのモヒートを私がBeeで呑んだ際の事です。O君が「ナニ呑んでるんすか、そのミドリはナンすか、そんなん呑んでナンなんすか、ハッパ喰ってナンすか」とかからんできたのです。私は「気になるのならば一口呑んでみな」と勧めたのですが、彼は「要らない、そんなんちがう」とぬかしました。しかしその後もこちらの手元のグラスをチラチラ見ては「それウマイんすか、何の味すか」なんてしつこい。もう一度勧めた私のグラスからやっと一口、「モヒート初体験」をしました。彼は3秒ほど考えて、BeeのマスターN君に言いました。「モヒートちょうだい」。O君は届いたモヒートを水のように勢いよく呑みます。添付されていた2本のストローを割り箸のように使いミントを貪ります。ほれ見ろ、いつもこうじゃないか。O君は、私の方が先輩なのに、いつも「ダメだダメだぜんぶダメだアンタのやることぜんぶダメだダメだダメだアンタのミライはかなりダメだ」と早口言葉のように私を批判します。そのくせこの「モヒートちょうだい」のように、しばらくしてから「ダメだダメだ」な「アンタ」とおなじものを手にします。まずは「フジサキヒハン」が前提です。その後に悪びれる事も無く「モヒートいいねぇ、あっ、藤崎さん今度はナニ呑んでるの、ナニッ、またちがうミントのヤツですか、一口くれてみ、これもイイねぇ」ですか。

  

              

 

 

            

                 ミントを「食べる」男

 

 

             

                 またちがうミントのヤツ

 

 

 罪が無い男です。以前にも似たような事がありました。こんなんばっか。私が「きゃりーぱみゅぱみゅ(なんだかこの文字を打っていると恥ずかしいです)」のCDを車で聴いていた時、同乗していたO君は「ナンですかこの音楽は、金捨てましたか、ナニやってんすか」と怒りました。しかし私は見逃しませんでした。「きゃりーANAN」がかかった瞬間、怒りながらそっぽを向いた彼の顔が「ニヤーッ」としたのを(「きゃりーANAN」がどんな歌かは個々人で検索ください)。しかもその2週間後に会った彼は「ぱみゅぱみゅのCD買っちゃいましたよぉ」だそうです。たいして恥ずかしげも無く言いました。

 O君、もう少し私をリスペクトしてください。私もあなたをそれなりにリスペクトしているときもあるような気がしますから。

 

 また近いうちにライブをやるみたいです。モヒート呑んで「やってやる」しましょう。

 

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>

selected entries

categories

archives

recommend

recommend

dancing in the street
dancing in the street (JUGEMレビュー »)
Martha Reeves & The Vandellas

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

仁輪加
仁輪加 (JUGEMレビュー »)
サンハウス,柴山俊之,鮎川誠

recommend

recommend

recommend

recommend

第3回全日本フォークジャンボリー’71
第3回全日本フォークジャンボリー’71 (JUGEMレビュー »)
オムニバス,岩井宏,なぎら健壱,加川良,吉田拓郎,六文銭,あがた森魚,野沢享司,高田渡,岡林信康,遠藤賢司

recommend

recommend

伝説のデルタ・ブルース・セッション1930
伝説のデルタ・ブルース・セッション1930 (JUGEMレビュー »)
サン・ハウス&チャーリー・パットン

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

川本真琴
川本真琴 (JUGEMレビュー »)
川本真琴,石川鉄男,岡村靖幸

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM