お洒落は難しい

  • 2017.04.02 Sunday
  • 19:38

 「ジーンズが欲しい」。最近ジーンズが欲しくなったのです。何故でしょうか。多分お洒落に目覚めたのです。今更です。それはともかく近頃は「ジーンズ」って言わないんですか、「デニム」って言うんですか、そーですか。「ズボン」もダメですか、「パンツ」って言うんですか、そーですか。じゃあ下着の「パンツ」は何と言えばよいのですか、「サルマタ」ですか、「ズロース」ですか、それとも「ステテコ」ですか。「電話してね」と言う時についつい指をクルックルッと回すのはいけませんか、どーなんですか、そーですか。

 などと、どこにぶつけていいか判らない怒りを記してみました。ちなみに私の妻も洋品店で「『このズボンを試着していいですか』と店員さんに尋ねたら、『このパンツですね』と言い直されて恥ずかしかった」とぼやいておりました。それからしばらくの間、当時喋り始めたばかりの娘が「パンツですね、パンツですね」と連呼していたことを覚えています。とにかく最近ジーンズが欲しくなったのです。私に似合うものはあるんでしょうか。探してみました。最後にジーンズを購入したのは25年以上前です。ずっとジーンズと同じワークウェアであるディッキーズやレッドキャップのズボンを購入していました。履き心地も値段もデザインも耐久性も申し分無いからです。ポリエステルとコットンの混合品。固い硬いゴワゴワ感がたまらない。ワークウェアってのはイイな。いつも同じものを購入するので試着すら必要ありません。色は茶色か灰色かカーキ。日頃の運動習慣のおかげで体型も大きな変化がありません。店に出向き店員さんに「ディッキーズの874、色はこれ、サイズは34インチ、裾を4僂△欧討ださい」。これでお終いです。「オレはもう一生ズボンの購入で悩むことは無い。すでに確立した」。映画「ファイトクラブ」のエドワード・ノートンみたいなセリフですが、ホントにそのように思っていました。服屋の試着コーナーでうろつく輩とは一味も二味も違うんだ、との自負がありました。時々親しい人々から言われることがありました。「たまには違うものを購入したらどうなのだ」と。何と言いましょうか、こんな感じでしょうか、思い当たるでしょうか。青いシャツがとても好きなのに「お前はいつも青いシャツだな。だから赤いシャツをプレゼントするよ」とか言われたとします。嬉しくない。まったく嬉しくない。だって青いシャツが好きなんだもの。そんな感じです。偉そうでスイマセン。

 しかし何故か最近ジーンズが欲しくなっていたのです。悩んでいたのです。お洒落さんです。

 

 まずは店に出向きました。ジーンズコーナーで「沢山あるなー」とバカ面でたたずんでいる間に店員さんが近づいてきます。そして早口で言われます。「何をお探しですか、デニムですか、これなんか今年の流行りですよ、お客さんの感じだとこれなんかおススメですよ、試着しますか」。怖い、ホントに怖い。そっとしておいて欲しい、今年に全然流行らないのが欲しい、私の「感じ」を読まないで欲しい、試着を勧めないで欲しい、試着ムリ。何故か「負けた」気分で何も買わずに店を出ます。「オレって奴」はダメな奴だ。意気消沈の帰宅後に思います、「時代はITだ、電脳だ、パソコンでジーンズを購入するさ」。「ジーンズ」で検索しました。リーバイスとかリーとかエドウィンとか、そのあたりまではイイんです。しかし、さらなる検索で進めると「デニム生地は・・・」「大戦前クラッシックモデルの・・・」「ヘビーオンス」「インディゴ染め」「タグの位置が・・・」「ローライズ」「ダメージ加工」「ワンウォッシュ」「隠しリベットを・・・」「ステッチに・・・」。ますます判らん。まったく判らん。何を言っているんだ、この人達は。要らん、ジーンズは要らん、ホントはとてもジーンズが欲しいのだけれども。もうごめんなさい、スイマセンでした、私のせいです、高望みでした。そんであきらめました。

 

 「ジーンズが無理なら髪形でも変えてみるか」。お洒落に目覚めたかもしれない私は思いました。正確には「髪の毛を伸ばしてみるか」、そう思いました。2017年、変化の年。今まで何の迷いも無く「ボーズ」ライフを送ってきました。誰に言うでもなく「いいか、オレはなぁ、人一倍髪の毛があるんだよ。でもボーズにしてんだよ、そんなゼータクなんだよ、判ってんのか」とか思っていました。言い方を変えれば「これしかないんだよ、オレにはなぁ」という事です。しかし最近、書店の男性雑誌コーナーで「お洒落ボーズ」とか「ボーズで行こう」みたいなタイトルの本を見かけることが増えてきました。あんなぁ、「ボーズ」はお洒落じゃないんだよ、少なくとも「オレには」なぁ。「スタイル」ではあっても「遊びじゃないんだよ」、そんな感じです。「ボーズ」は市民権を得たら遺憾ですよ。天邪鬼な私は市民権を獲得し始めた「ボーズ」にオサラバして「ロン毛でGO」しようかと思った訳です。しかし昔を思い出しました。歯科大学病院に勤務していたその時を。躊躇しました。あれを思い出しても髪を伸ばすのか、オレにそんな度胸があるのか、と。甘んじて行こう、と弱気にもなります。

 

 その年末は大掃除と新病院完成が重なり、いつもにも増して医局や技工室の掃除を念入りに行いました。すると医局の片隅にあった箱から何故か「ヅラ」もしくは「ウイッグ」と呼ばれるものが出てきました。「なぜ医局にこんなものが」と笑い、そして「誰なんだ、こんなモノをを買ったのは。アホらしい」と思いました。しかし興味が湧いて出ます。とても興味が増してきます。「変身できるかもしれない」、「違う自分に会えるかもしれない」。「それ」を持ち、医局内の人間に黙って外に出ます。目指すはトイレです。あまり人が来ない北側トイレに入り鏡の前で「それ」をかぶります。「悪くない」、それが感想でした。当時まだ結婚していなかった妻が違う棟で事務員として勤務していました。興味本位で「ロン毛な俺を見せてみよう」と思い立ちそのまま彼女のもとへ行きました。私を見た彼女は一瞬、「誰だこの怪しい人は」と顔に恐怖を表し、しばらく間を置いてから「気持ちワルイー」と笑い出しました。「気持ちワルイー」とは何なのだ、ではどんな人が「気持ちイイ―」のだ。腹が立ちました。また北側トイレに戻り鏡を見ました。「気持ちワルイー」。

            

 

 ジーンズも長髪も無理ですね、いくら目覚めても私にはお洒落は無理ですね。万年同じ服でこれからも行きます。仕方がないのです。

 まぁ「出来上がっている」と思えばいいですかね。

 

 ここまで格好良くは無いですが、しばらく「ボーズ」しかないです。              

           

   

 

 

 

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